第07章 早ク石橋ヲ叩ケ

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故に、『VR体験』が現実の代わりになるのだ。 中には、所謂グレーゾーンで、規制を検討すべきと主張する議員もいる。 遅々として議論が進まないのは、あくまで映像体験によるトランス誘導で違法性がないとAIが判断しているからだ。 音楽祭(レイヴ)との相性も良く、ティーン層を中心に爆発的に拡散している。 愛好家には、政財界のトップやその子息・令嬢も含まれている。 故に、所謂聖域……サンクチュアリなのだ。 俺は声には出さないが、AIが意図的に規制を避けているように想えるのだ。 AI特措法は、全ての法律の上に存在し、異論を挟むことは社会的な死を意味する。 こんなことを公言した日には、身内の公安局に逮捕されるだろう。 今追い込んでいる、闇本屋の主人のように。
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