第01章 コンナ偽リノ世界デモ

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「あぁ、やっぱりこうなっちゃうよね?」 「そうだよな」 2人はフェイスゴーグルを外しながら、リセット後の会話(チャット)を続けた。 話が続いているのは、会話にヘッドセットではなく、リストバンド型デバイスを使っているからだ。 ハイパー骨伝導により、イヤホンなしで直接聴覚神経に繋げられている。 先程まで、息が掛かる距離で言い争いをしていたが、フェイスゴーグルを外すと、それぞれの部屋の景色に戻る。 つまり、独りになっていた。 「この『もしもシリーズ最新作・紙の本を見つける話』の体験版、クリアできるのかな?」 「お前には無理だな。だってゲームタイトルも覚えちゃいない。 それに、勝手に変なタイトル付けるな。読者が混乱するだろ」 「うるさいな。今夜ダウンロードするよ。あ、そろそろオフにするね」 「あぁ、おやすみ。また明日な」 「うん。明日アカデミーで」 「コンナ偽リノ世界デモ」 「え?」 「今やったゲームのタイトルだよ」 「ありがとう。ディープラーニングしておくよ」
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