第02章 ハジマリノ蛇

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第02章 ハジマリノ蛇

お父様、お母様……。 私を、私のことを誰一人知らない土地に送り出してくださって、ありがとうございます。 これで私は、嫌な想いをしなくて済むのだわ。 苦痛でしかなかった、私の――高取(たかとり)ひかりの――15年間の人生。 神を恨んだことも、お母様に酷いことを言ってしまったこともあったけれど。 もう私はリセット、いいえ、過去をログアウトし、生まれ変われるのですね。 明日から通うアカデミーには、『私は記憶に障害がある』という事実しか伝えていませんのよね? あそこでなら、私は、の人生を送れるんですもの。 あの忌まわしい能力のことを封印さえすれば。 地元では、誰もが知り、畏怖し、軽蔑し、拒絶し、でも利用しようとするあの忌まわしい能力を。
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