1人が本棚に入れています
本棚に追加
~~~
「………」
目覚めると、見覚えのない天井だった。
見ると自身は布団に寝かされ、(恐らく台所だろう)ジュウジュウと音が聞こえる。
「……何処だ?」
身体を起こすと、整った顔の眉間に皺が寄る。着ていたはずのスーツはなく、パンツ一丁だった。通りで寒い訳だ。
「よし、出来た」
音がした方から声が聞こえ近付く。
「あれ?いない?」
冷蔵庫の有り合わせで作った焼き飯を抱えて居間に戻ると、布団で寝ていたはずの男の姿がない。
「嘘、起きてどっか行った?」
焼き飯を机に置き、律は居間を見渡す。
ドンッ!!
居間の入口影に隠れていた男が飛び出し、律を押し倒す。
「いっ!!」
驚きより頭をぶつけた衝撃が走る一瞬で、男は律に跨がる。両の二の腕を男の膝に押さえ付けられ動けない。男の空いた手でポキポキ指を鳴らす。
「てめぇ誰だ?ここが何処か、後俺がパンツ一丁の理由も教えて貰おうか?」
雨に濡れたあの顔と同じだと彼が一瞬判断出来ないくらい、整った顔に深い眉間の皺が刻まれ、まるで般若面かと思うくらい鋭い目で睨んでいた。
「お…俺、八条 律です…宅配してます…
貴方が雨の中道で動かなかったから、とりあえず俺のアパートに連れて来て…スーツはびしょ濡れだからハンガー掛けて玄関に置いてます…」
男を刺激しないようにしつつ、事情を話す。そりゃ起きたらパンツ一丁で知らない場所にいたら警戒するのは当然だ。
「………」
男は無言で般若面のまま律を睨む。まるで警戒している獣だ。
「えーと…焼き飯作ったし、俺のだけど服用意したし着ませんか?」
視線で知らせる。先程作った焼き飯と、律のジャージが雑に畳まれている。
男も視線を辿るが、獣の警戒は解けない。
「…脱がしたなら、俺の持ち物も見ただろ?」
「まぁ…少なくとも俺が犯罪者なら、真っ裸で外捨てるか縛ってますよ。えっと、尾上…唯…さん?」
名を呼ばれ、男…唯の睨みがきつくなる。
「名前呼ぶな」
「あっ…」
女のような名前だと思ったが、気にしているとは思っていなかった。
「地雷だったらすいません…
只…マジで服着てください…ソレ、ヤバいから…」
「あ?」
怪訝に下を見る。冷や汗流す律の息が、唯のソレに当たっていた。そしてあろうことか、下を見る際腰が動き、律の口にソレが当たる。
「んっ!」
「っ!?」
驚きと羞恥で身体を仰け反らせ、そのまま唯は後ろに倒れた。
「おいっ!!」
慌てて起き上がると、律の足の間に唯は仰向けで倒れていた。驚いた顔、律の二の腕を押さえていた足はそのままで、足を広げパンツ越しのソレは良く見えて…
最初のコメントを投稿しよう!