第二の遠吠え

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~~~ 「ちわっーす!ワンニャン宅配便でーす!」 翌日、律は担当のエリア内の宅配に回っていた。今日は行く先々で不在もなくスムーズに終わらせいくことが出来ていた。 (凄ぇ…あまりにスムーズ過ぎる。しかも行く先々の人達が笑顔で『ありがとう』とか『お疲れ様』とか言われて嬉しいし… 久々仕事が楽しいって思える…!) 近代ネットショッピングが急増し、宅配業者の負担は増大している。対し人手は不足している。 元々勉強が苦手も理由にあり、今の仕事に就いた。学生時代は部活に所属してないが体力体格に恵まれ助っ人で良く呼ばれていたことは自慢だ。恐らく律が何かのスポーツに本腰を入れ取り組むなら日本代表レベルになるだろう…皆が彼の姿を見てはそう口を揃えていた。 「八条君!」 何処からか呼ばれる。声の方から律と同じワンニャン宅配便の制服を着た女性が駆けて来た。 「あっ、栗山じゃん」 駆けて来たのは同期の栗山 瑠花だ。重い荷物を運ぶ仕事で女性が少ない職場だが、瑠花は弱音も吐かず、その姿に律も彼女を尊敬していた。瑠花も彼と話やすく2人は職場で一番の仲良しになっていた。 「どった?栗山の担当こっちじゃなくね?」 「それがね、今日富山さんが体調崩して早退したの。その分の分担を皆でしてるから、八条君にも1つお裾分け♪」 「げっ!マジかよ!」 怪訝な顔をすると、瑠花がバシバシ律の背中を叩く。重い荷物を運ぶ分痛い。 「皆近場の1つずつだよ、富山さんが今度皆にご飯奢るって言ってたから頑張る!」 「ったく、しゃーねぇなぁ」 瑠花に囃され律はやれやれと荷物を受け取る。配達先を確認すると、律は固まる。 「えっ…これって…!?」 「うん、頑張って」 『警視庁』
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