第二の遠吠え

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~~~ 「……以上で、今回の捜査会議を終了する」 同時日、警視庁。 係長の言葉で刑事達は一斉に班で固まり捜査方針の話し合いを始める。 その中、唯は呑気に1人部屋から出ようとする。 「尾上」 係長が呼び止める。 「はい」 「今回お前の持って来た情報が有力な手掛かりになった。良くやったな」 「ありがとうございます」 唯は軽く会釈する。係長はふぅと溜め息1つ。 「…なぁ、お前もそろそろバディを組んだらどうだ? 本来刑事は2人1組が原則だ。お前が異例の単独行動で結果を挙げてるからこそ皆何も言わんが、危険も負担も倍だ。それを考えて…」 (また始まった…) 表情を変えず、唯は内心上司の何度目かのバディを持てという話に呆れていた。 「……だからだな、」 「自分は今のままで十分です。リスクも覚悟の上ですし、今さらこんな自分とバディ組む人間は上も下も困るでしょうから。 失礼します」 無理に話を遮ると、何度も呼ぶ係長を無視し部屋を出る。 「出た、『狼』…」 「一匹狼か何か知らんが、あれで毎回有力情報持って来て手柄持ってくからな」 「噂じゃ、その手の奴らに身体売ってるってさ」 あちこちから聞こえる声。唯にとってはどうでも良い。 一匹狼とは人間の言葉で単独行動をする存在のことを指す。人によれば群れない姿に格好良さを感じ、輪を乱すと嫌う人がいる。 だが実際の狼にとって、チームプレーで獲物を狩り生きる獣としては致命的であり、彼らにとっては惨めな存在だ。 少なくとも、ほぼ男社会の刑事達の中で名前も女らしく標準と比べ細身の唯は周りから浮いていた、いや浮かされていた。勿論本人の意思はそこにない。 (どうせ俺にロクな感情しかない奴らばかりだ、それなら俺が好き勝手しても問題ねぇだろ) 周りから惨めに思われようが、刑事として手柄を挙げる、犯罪者を捕まえる、被害を止める…唯にとってそれが出来るなら気にする価値もない。 「お、尾上さん…!」 彼にやや怯え気味の婦人警察官に呼ばれる。 「何ですか?」 「あの…受付で尾上さん宛の荷物が届いていると……」
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