いじめの返り討ち

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いじめの返り討ち

彼女・・・仮にA子は落ち込んでいた。 新入社員として入った職場であろうことか昔、いじめていた女B子がいたのだ。 中学生のころ、同じクラスのB子をA子はいじめていた。 「ノロマ」「バカ」「役立たず」 とか言っていたたらしい。 B子はA子を睨みつけ、「私にしたこと、許さない!」 と言った。そして昔されたいじめを職場の人たちに言いふらした。 職場の人たちはB子を慰め、A子を非難し、無視するようになった。 私C子はそんなA子の話を聞いていた。 場所は夜のモダンなカフェ。 コーヒーを飲みながらA子は泣いていた。 「私が悪いのはわかっているけど・・・ずっとこんな目にあわなければいけないの?」 A子は泣きながらコーヒーを飲む。 「職場を変えれば?」 「・・・そうすればいいのだろうけど、第一希望で入った職場なのに 簡単には決断できないよ・・・」 A子は頭を下げた。 私は言った。 「だったら仕事で頑張るしかないよ、実力のある人を邪険にはできないだろう し、役に立つ人だって思わせるんだよ」 A子は顔を上げた。 「・・・そうだよね、C子の言う通りだね。頑張らないと」 次の日からA子は頑張ったらしい。集中して早く仕事を仕上げ、人の仕事も手伝った。 職場の掃除も率先して行ったらしい。 職場の人で笑顔であいさつしたり、返事もはっきりしたものに変えた。 最初はそれでも無視したり、悪口を言う人もいたが、それでも頑張った。 それを数か月、半年。1年・・・と続けていくうちにだんだん変わっていった。 A子は職場で頼られる存在となったらしい。邪険にしていた人間も A子を頼るようになった。職場で大事な存在になったらしい。 一方、B子はというと、それでもA子の悪口を言っていたが、 仕事は遅く、ミスばかり、いつも小さな声ではっきりしない、などの点 から周りの人間に邪険にされるようになっていった。 過去のいじめのことでかばっていた周りの人々も、 「本当にバカ」「ノロマ」「役立たずじゃないか」 と言ってB子から離れていった。 そしてこの前、B子は仕事を辞めたらしい。 いつものカフェで笑顔でそう話すA子。 左手の薬指には指輪がある。 最近、婚約したらしい。 その笑顔を見て、B子にはかわいそうだったかな、とも思ったが、 別に間違ったことは言ってないよな・・・とも思った。 その時、こちらに向かって、ナイフを持って迫っている者がいることに私たちは気づかなかった。
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