同窓会

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同窓会

ある中学の同窓会。20年ぶりに元同級生たちが集まる。 そこに腕を組んで歩いている美男美女のカップルが。 「もしかして、伊藤と前田?」 「今は二人とも伊藤だよ」 クラスメイト達は驚く。 「え!?二人は結婚したの?」 「「うん」」 二人は互いの指につけたお揃いの指輪を見せた。 「え、そんなそぶり全くなかったのに」 「付き合い始めたのは社会人になって再会してからだから」 元前田は笑った。化粧をした顔がとても綺麗だ。 それから少したってクラスメイト達がバラバラにしゃべっているとき、 私、栗田は聞いた。 「伊藤くんとはうまくいってるの?」 「うん、だって中学の頃から片思いしてたから」 「片思い?」 前田ははにかんで笑った。 「栗ちゃんは覚えている?私がいじめられていたこと」 「覚えているよ」 あの頃、前田は数人のクラスメイトのいじめを受けていた。 わざとぶつかる、蹴る、物を壊されるなど。 止めようとした人間もいたが、なかなか収まらなかった。 そんなある日、いつものように前田がいじめっ子たちに絡まれているとき、 一人の男子がそいつらを殴りつけたのだ。 それからいじめはなくなった。 「雅夫君、いや伊藤君が助けてくれたからだよ」 うっとりとした顔で前田は言った。 「え」 私は固まった。 違う、あの時助けたのは藤井だ。 小さくて椅子に座って本ばかり読んでいた藤井が、いきなりあいつらを 殴りつけたのだ。 伊藤はいじめこそしなかったが、大多数と同じで見て見ぬふりをしている だけだった。 「それ、本当に伊藤君?誰かと間違えてない?」 私が聞くと、 「何言ってるの?伊藤君がいじめっこをやっけてくれたんだよ」 前田は笑った。 その後、その場にいたクラスメイト、上田にも確認したが、やっぱり助けたのは藤井だと言う。 私の記憶違いではなさそうだ。 では何故前田は伊藤だと言ったのか? 確かに藤井はあまりぱっとしなくて、伊藤はイケメンな方だけど・・・ ちなみに藤井は同窓会を欠席している。 「栗田さん」 私が考え込んでいると、後ろから肩を叩かれる。 振り向くと、そこには伊藤がいた。 「彼女、春香に何か言ったかな?」 微笑んでいるが、目は笑っていなかった。 「い、いや」 恐怖を感じて私は目をそらす。 「そうか、彼女は昔のことで傷ついているから、あまり余計な事 言わないでね。・・・・せっかく思い込んでいるのに」 「は?何か言った?」 最後のほうがよく聞き取れなかった私は聞き返す。 「何でもないよ、これからも元気でね」 伊藤は笑顔を浮かべた。 「そっちこそ、お幸せに」
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