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2話
郵便ポストを開けた。母は子供を失った苦しみで実家に帰り、父はどこか他の女のもとへ行ってしまった。約1ヶ月間放置された郵便ポストには溢れるほどの新聞紙がただが乱雑に押し込まれているだけだ。見出しには「飛び込み自殺件数増加」と書いてある。2ヶ月前ぐらいにもあったようだ。私はようやくそれらを全て取り出した。ふと家に戻ろうとした時、私はとある小さな広告欄に目を奪われた。
「時を戻す傘を1本5万円でお譲りします。
先着1名様限りです。
連絡先 〇〇〇-△△△-◇◇◇
メールでも受け付けております。」
メールアドレスも書いてあった。今でもよくこの記事を見つけたと思う。しかし時を戻す傘とは一体なんだ。そんなものこの世にあるわけが無い。それに5万円は高校生の私にとって高すぎる。これから一人で生きていかなければならないかもしれないのにこんなもので出費する訳にはいかない。私はそくさくと朝食の支度を一人ではじめた。
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