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「なぁ、リョウ。大事な話があるんだ」
微かに、父さんが話しかけてる気配があり、僕は、ボリュームを下げた。
「え? 何?」
「大事な話。お前に」
「何? 父さん」
「父さん、再婚するかも知れん」
「マジで? ってことは?」
「そうだ、お前に新しいお母さんができるかも知れん」
「……ふーん。そのこと母さんは?」
「話してない」
僕の両親は、3年前、つまり僕が小学校5年生の時に離婚した。
お互いの仕事が忙しすぎて、すれ違いの生活だった。
保育園時代から、母さんは『うちは母子家庭みたいなもんだから』ってよく言ってた。
でも僕が高校を卒業するまでは、お互いに成長を見届けようという話になったらしい。
実際、僕がその事実を知ったのは去年のことだった。
中学校進学を機に話してくれたんだ。
近所の人は、未だに知らない人が多いんじゃないだろうか?
父さんは、フリーランスのイベンターで、一度仕事が入ると2週間から1か月くらい居なくなる。
イベントの仕事以外は、自宅2階の書斎に居る。
波がある仕事で、暇な時は1か月くらい家に居る。
だから、半ば溜まり場と化している僕の家だが、父さんが居ることが多いんだ。
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