第02章 찻깐(チャッカン) 車の中

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第02章 찻깐(チャッカン) 車の中

「ナビなんだ。父さんの再婚相手」 「は!?」 今日イチ、いや、14年間の人生で一番大きな驚きだった。 嘘だろ? でも父さんは、あんなシーンで、嘘を吐くような人間ではない。 バシュッ。 また、ミスショット。今日何本目だろうか? 「おい、リョウ! 今日のお前変だぞ?」 1年生の時からペアを組むヒロが堪らず声を掛ける。 「頼むよ、明日は大事な大会だろ?」 「あぁ、悪い。ちょっとリズム立て直すわ」 僕は額の汗を拭いながら、後衛のヒロに謝罪する。 僕達の中学校のテニス部は硬式ではなく、軟式だ。 所謂、ソフトテニス。 しかも、シングルスはなく、ダブルスオンリーだ。 だからパートナーのヒロも、デビュー戦以来、僕と同じ悔しさを共有している。
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