第4章 探り合い

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第4章 探り合い

「ラグランスって長いから、ラグでいいか?」 「え?まあ、いいけど」  朝、朝食をもそもそと食べるラグランスに、トムソンはそんな提案をしてきたので首を傾げる。というかこいつ、もはやラグランスを魔導師として扱う気すらなさそうだ。 「いや。そこは友達ってことになってるから」 「ああ。そういえば」  町のど真ん中で吐いた嘘を、今になって思い出す。あの不良っぽい皆さんが自警団だと解った今、その嘘を突き通さないことには町から追い出されるだけだ。 「大丈夫かよ。本当にお前、よく魔導師の試験に通ったな」 「うっ……三浪しました」  ここはもう正直に言っておいた方がいいと、ラグランスは目を逸らしつつ白状した。すると、トムソンは一瞬固まり、そして大笑いを始める。 「さ、三浪って」 「いや、他に表現のしようがないし」 「いやいや。お前に根性があることは解った。あれを三回も受けるなんて、そんな根性は普通はないぜ」 「え?そうかな?」  とまあ、肝心なところがずれているのがラグランスの特徴だ。それにトムソンはなるほどねえと、一人納得する。 「なんだよ?」 「いや、お前が普通の魔導師と違う理由が見えてきたなって思ってね。あ、俺のことはトムって呼べばいい」 「ああ、はいはい」  と、こんな感じで抜けた朝がスタートする。本当に大丈夫かよとトムソンは心配になるが、あの難関試験を三回も受け、それで通った男だ。信用するしかあるまい。  ラグランスは用意されていたパンと目玉焼きという朝食を食べ終えると、よいせっと立ち上がってあの外套に袖を通す。一度怒られているだけに、二度と同じミスはするかと心に誓っているのだ。 「ここだったら、枢機院に言う物好きはいないと思うけど」 「うっ、それもそうか」
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