第2章 町外れの教会にて

1/5
22人が本棚に入れています
本棚に追加
/58

第2章 町外れの教会にて

「魔導師を拾ってくるなんて、あんたバカ?」  教会にて、馬鹿にされるのはラグランスではなくトムソンだった。彼はまあまあと宥めつつ、ガンガン詰め寄ってくるシスターに苦笑している。  小柄なシスターは非常に可愛らしい女性で、ラグランスはこの口の悪さを知らなければうっかり口説いていることだろう。もちろん、神の教えについてだ。嘘ではない。愛だって神が説く一つなのだから。 「それにしても、どうして魔導師がここにいるのよ。王朝はここを刺激しないと決めているはずよ。それどころか、奴隷を餌として献上している。それなのに、なんでいるの?」  ずびっと指差され、矛先がラグランスに向いた。色々とツッコミを入れたいところが多いのだが、はて、どこから指摘すればいいのか。何だか難しい人だ。それに近くで見ると少女と言うのが適切な年齢かもしれないと気付く。 「こいつ、そのマクスウェルとお友達だったんだと」 「はあ?こんなアホ面の男と?」 「いや、一応彼も魔導師だから。見た目通りの馬鹿じゃないはずだし、アホでもないはず」 「もう、何とでも言ってくれ」  自分が馬鹿だということは自覚しているので、弁明してくれても恥ずかしさしかない。だからもう、その点に関しては解放してもらいたかった。 「いやあ、悪いね。こちらシスターのラピス。非常に口が達者だ」 「そのようですね」  紹介されたラピスは、ふんっと鼻を鳴らす。ま、そんなことをやっても可愛らしさが損なわれないのだから、かなりの美人なのだ。いや、美少女なのだ。 「それで、魔導師なのは見た目で解るわよ。どんな馬鹿でも魔導師詐欺なんてやんないから。で、何しに来たの?私たちは吸血鬼と運命共同体でやってんのよ。下手に刺激して食われたくないの」  そんなラピスが言った言葉が、ラグランスの胸にずどんっと刺さる。食べられたくない。その言葉が非常に重かった。
/58

最初のコメントを投稿しよう!