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何でもないただの点が人の顔に見えてしまう。
あっちにも点に見える染みがあり、そちらもやはり人の顔に見える。
でもこれは霊体験じゃない。
シミュラクラ現象っていう、立派な名前のと科学的根拠のある現象なんだ。
詳しいことは忘れたけど、人間の脳は、点が三つ近くにあると、それが人の顔に見えるようにできてるらしい。
もう一つ、バレイドリアっていう似たような現象があるらしいけど、そっちは人の顔が見えるのは心理的要因があるらしいから、多分そっちじゃないと思う。
とにもかくにも、俺がそこいらの点を人の顔と見間違えてしまうのには理由があったのだ。
子供の頃は、あちこちに見える顔を幽霊だと怖がって騒いだけれど、この現象のことを知ってから嘘のように気持ちが軽くなった。
科学で解明されていることだもんな。怖がる理由はもうないよ。
* * *
「なぁ。ぁそこの壁に染みなんて見えるか?」
「顔に見える『三つの点』だろ? …まったく」
「実際、シミュラクラやバレイドリアって現象はあるらしいけど、あいつのはなぁ…」
「そもそも誰にも見えない点や染みが燃えるあたり、どう考えても霊現象だよな」
シミュラクラ現象…完
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