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俺は締め切り一週間前に迫った院◯展の作品を部屋で描いていたはずだ。
この公募展は俺の描いている日本画の中でもデカイ組織で、日本画の登竜門の一つになっている。
夏と春の二回公募があるのだが、夏のは作品サイズがでかくて二メートルある。
なので、いつもの絵画塾の講師は締め切り前は所属の違う人に変わって貰っていた。
独り暮らしのアパートにギチギチに詰め込んだ作品と残り一週間格闘していたはずだ。
それが何故…
全然分からない。
このウッラに聞いてみなくては。
「うっりゃさん?ここはどこれすか??(ウッラさん?ここはどこですか)」
「ウッラでございます。敬称はいりませんよ。」
「れも、としうへのひちょをよにすへにわ(でも、年上の人を呼び捨てには)」
「かまいません。サアラ様。私はこのプレイェル家の使用人です。子守りに雇われています。」
「そうれしゅか…れは、うっりゃ。ここはろこれすか?(そうですか…ウッラ。ここはどこですな?)」
「ここはヴォギット王国でございます。」
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