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「待って下さい。あなた!あの子を人前に出してはいけないわ!」
「サアラも私達の子だ!きちんとお祝いをしてあげないといけないだろ!!」
「駄目よ!駄目よ!あの子は少し変なのよ!私まで奇異の目を向けられるわ!」
お母様がキーキーと喚きながらお父様を止めようとしているが、お父様は全然意に介していない。
俺はどうしたものかな。
夫婦仲を険悪にしてまでパーティーに出たい訳でもないし。
ここはあれかな。あの手を使おう。
コンコン
「サアラ、遅くなってすまないな。さぁ、お誕生日会にいこう!」
「…くしゅん。お父様。私、少し体調が優れないから、申し訳ないけどお部屋にいます」
サボリの常套手段!
仮病だ!
「あなた!無理に人前にだして移してもいけませんわ!会だけはちゃんと開いたんですもの。私達だけで挨拶に行きましょうよ!」
「サアラ、大丈夫なのか?直ぐにダニエルを呼んでくるからな」
ダニエルに診察されたら仮病がバレてしまう!
「…コホンコホン。少しなので、寝たら治ります。お医者様の手を煩わす必要はありませんわ。それよりお父様達はお客様の方に行って下さい」
「本当に大丈夫なのか?もし体調が変化したら直ぐに知らせるんだよ?」
「はい」
お父様達の足音が遠ざかっていく。
これで家庭の平和は保たれた…。
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