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と、思ったのもつかの間。
ドンドンドンドン!
「サアラ、出てらっしゃい!そんな少しくらい体調が悪いからって引きこもらないでよ!!あなたの話を聞いて会いたがっているお友達が折角いらしてるのよ!」
「イザベラ、サアラは体調が悪いそうじゃないか。そんな無理して出て来なくても…」
「お兄様!何言ってるの。どうせ仮病よ!お母様のヒステリーが恐くてビビっているだけだわ!出ていらっしゃい!サアラ!」
「サアラ、そうなのかい?それなら僕の部屋で子供だけでお祝いしないかい?」
ガチャガチャ
「何よ。鍵かかってるわ!」
ドンドンドンドンドンドンドンドン!
イザベラのドアノックがまるで借金取りのようだ。
「どうします?」
ウッラが少し怯えながら聞いてきた。
「ん~ん。お兄様の部屋だけなら大丈夫かな?」
と言ってすぐにウッラが鍵を開けるそばからドアが勢い良く開いた。
ドフッ!
あ、ウッラが吹っ飛んだ。
「何で鍵なんてかけてるのよ!入れないじゃない!」
「お姉様、ごめんなさい。来客が多いので、どなたかが部屋に入ってくるといけないと思って」
俺の心境などお構い無しにイザベラは部屋に入って来て俺を引きずるように引っ張った。
早い!
身長の差がかなりあるからイザベラの歩調についてはいけない。
エリックとウッラは後ろからオロオロしながら付いて来ている。
「お、お姉様。はぁはぁ、少しゆっくり歩いて下さい」
「駄目よ!もう随分お待たせしてるんだから、帰ってしまうかもしれないじゃない!」
屋敷の端にある俺の部屋から真ん中にあるエリックの部屋まで五分ほどで着いた。
ドン!ドスン!!
イザベラが乱暴に俺を部屋に投げ入れた。
「ここで待っていなさい!動かないでよね!」
呆然と固まる俺とウッラを残して二人は嵐の様に行ってしまった…。
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