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兄と姉
「見た感じ何にも変わってないじゃない」
「喋ったってだけで、成長した訳じゃないんだよ」
「いったい何を喋ったのかしら」
「ん~ん、お母様がビックリして倒れたくらいだからね。でも、見た目は赤ちゃんなんだよな~」
「信じられないわ」
耳元でさっきからヒソヒソ話しが聞こえてくる。
子どもの声だ。
男の子と女の子、二人だ。
人が寝てるのに煩いなぁ~
今は夜中だろ。子供は寝ろよ~
「ちょっと起こしてみましょ。どのくらい話すかしら」
女の子の方がツンツンと俺の頬っぺたを突いてきた。
「まだ寝てるよ。可哀想だけら止めなよ」
そうだそうだ!
少年よ、もっと言ってやれ!
「やだ!頬っぺたプニプニで気持ちいー!」
「え!僕もサアラの頬っぺた触りたい!」
プニプニプニプニプニプニ、ムギュッ
「こりゃーーー!いまつにぇったにゃよ!(こらー、今つねっただろ!)」
俺の怒鳴り声に二人はサッと手を引っ込めた。
目を開けて見ると、これまたプラチナブロンドの天使みたいな男の子と女の子がいた。
男の子の瞳は緑で、女の子は薄い水色だった。
まるで宝石みたいな綺麗な瞳だな。
俺は日本画なんてやってるくらい綺麗な宝石好きだからな。日本画は水晶とか翡翠とか粉にしたりして絵の具にするんだぞ。絵の具高いぞ!
「きりぇーにゃ…ひちょみ(綺麗な…瞳)」
そう言うと二人は目を合わせて驚いた顔をした。
「本当に喋ったわ!」
「サアラの瞳の方が綺麗だよ!」
二人の会話が噛み合ってない…
女の子は俺が話した事に驚いている。
まぁ、分かる…
しかし、男の子は真顔で俺を見つめて何かわめいている…
「サアラの瞳の色はね!奇跡なんだよ!僕、サアラの瞳みたいな綺麗な色を見た事がないよ!!僕やイザベルみたいのは普通なんだよ!」
「まぁ!お兄様!私の瞳も皆から綺麗な宝石と言われているのよ!」
分かった。この二人は兄妹だな。
似てるしな。
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