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1日目(雨)
__ぽた ぽた ざぁぁああ ぺひょ
「学校……行かなきゃ」
梅雨。わたしの一番嫌いな時期。湿度が高くて体調は悪いし、気持ちもどんよりと生温く、重く沈む。
「きょうは国総と英表と数Ⅰ……数Ⅰ、もう休めない。ちゃんと行かなきゃ。」
でもきっとまた意志の弱いわたしはさぼってしまう。行けない。健吾先輩や杏奈ちゃん。みんないいひとばかりだけど。みんなしっかりと自分を持っていて流されない。わたしとは違う。だからしっかり授業の欠時管理もできているし、わたしみたいに焦ったりしない。わたしは……
「わたしってなんだろう」
床に座り込んで呆然と虚空を見る。
「学校、いきたくないなぁ」
そう言いながら、のろのろと立って、リュックサックを背負って、昨日返ってきた時机の上に置いておいた鍵を取ると、玄関へ向かった。
「行ってきます」
パタン。ガチャ。とっ、とっ、と。
階段は長いようで短い。もっと上の階なら良かったのに、と毎日ここを通るたび思う。一歩ずつ、ゆっくり。下りる。ため息をこぼしながら。
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