従兄

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従兄

俺は最初あいつが嫌いだった。 初孫、親戚の中で子供は俺だけ。可愛がられ、愛され、何をしても許されていた。 俺が2歳のとき、あいつは生まれた。大人しい女の子、みんなの注目はすぐにあいつへと移った。 たまにしか会わないが、俺は我慢しなさいと言われることが増えた。 4年も経てばあいつは俺の後ろをついてくるようになった。俺が遊んでたらやりたがって、出来ないくせに真似して泣いて、正直面倒くさかった。 その年あいつに弟が生まれた。みんなの注目は弟へと移った。 俺は弟を可愛がった。別に好きだった訳じゃないけど、あいつに俺の気持ちを味合わせてやろうと思った。 俺が弟を可愛がるとあいつはとても悔しそうな顔をした。そりゃそうだろう、自分とは遊んでくれないのにどうしてってなったはずだ。 でも、あいつの凄いところはそこからだった。あいつは俺に気に入られようと努力した。 大きくなっていくにつれ、俺に好みを合わせてきた。俺の好きなものの情報を集めたり、俺の持ってないゲームを買い自分に注意を引いた。そして、弟が俺に近づかないように牽制もしていた。 俺は昔から他人の物が欲しくなる、あいつはそんな俺に自分の持っているものを全て貢いでくれた。 自分のために頑張る女はまあ可愛く見えたね。 俺は親にあいつと将来結婚すると宣言した。  冗談、まだ子供だからとは思っていたようだが、「違う子と結婚しなさい、彼女は親戚なんだから結婚は無理よ。大きくなったらもっといい子が見つかるから」と言われた。  後から従兄妹同士の結婚は法律的に認められていると知った。 でも、親からそう言われた俺は、じゃあお互いがとりあえず親を安心させるために別の奴らと結婚した上で付き合えばいいか、というイカれた発想にいたった。 『ねぇ、大きくなったら私と結婚してくれる?』 『うーん、お前が誰かと結婚したら付き合ってやるよ』 俺は本気でそう言った。あいつは不満げな顔をしていた。 『えーなにそれー』 俺の歪んだ性癖はここから始まった。
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