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目覚まし時計の音が鳴り響く。懐かしい夢を見た気がする。
横を見ると夫はまだ寝ている。私はアラームを止め、寝室を後にした。
夫が起きるまでの間に身支度を済ませ、朝ご飯の用意をする。朝は和食派の夫に合わせ、魚を焼き、お味噌汁を作る。
私はちらりと時計を見た。あと5分。
食卓に料理を並べる。あと1分。
5、4、3、2、1、0。0と同時に夫が寝室からスーツ姿の夫が顔を出す。
「おはよう」
「おはようございます」
夫は時間にうるさい人だ。毎日同じ時間に朝食を食べ、同じ時間に家を後にする。結婚当初は戸惑ったものの、半年もたてば慣れるものだ。
夫が食べ終わると夫の鞄を持ち玄関までお見送りをする。
こうして1日のうち一番忙しい時間が終わるのだ。
友達に朝の様子を伝えると嫌な顔をされるが私は別に苦ではない。私が好きな人に尽くすことにも、見ようによっては夫がある種のクズであるということにも喜びを感じてしまっている末期な女であるからだ。
…欲を言えばもう少しクズなくらいがちょうどいいのだが。
それを言えばまた友達引かれるし、贅沢な悩みであるということもわかっている。
夫は裕福な家庭で育ち、一流企業に勤めている。そのため私は専業主婦をしている。性格は真面目、堅物。私に愛してるとかも特に言わないし、夜の営みも結婚当初、それも数える程度しかしたことがない。そのため私たちの間に子供はいない。
これで外に女作って隠し子もいましたとかの方がギャップ萌えで私はもっと好きになるんだけどな。
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