私3

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私3

おかしい。 私は誰かに怨まれることはあっても、好かれることはないと思っていた。 実家から帰ってきて数日経ったある日、うちに封筒が届いた。差出人は不明だった。 中には私と従兄が手を繋いで笑っている写真が入っていた。バス停で待っていたときの写真だ。 私はまた従兄の元カノたちからの嫌がらせかと思っていた。 しかし封筒の中をよく見ると写真の他に手紙が入っていた。 私はひと目見た瞬間に気持ち悪くなり手紙を離した。地面に何枚も散らばった。 そこには私への愛が乱雑に、びっしりと書き連ねてあった。 最後にはでかでかと君を見ていると書かれていた。 その手紙を見て以来、私は出かけると誰かの視線を感じるようになっていた。 私は怖くなり、必要最低限の外出しかしなくなった。 従兄や夫に迷惑をかけないよう、手紙のことは言わず、一緒に出掛けるのも避けた。 毎日手紙は届いた。決まって私が一人家にいるとき。消印もないため、直接家まで来てることがわかった。 私は昔から交友関係が広いわけでもなかったし、結婚してからはさらに狭まった。 親しい男性なんて思い浮かばないし…。 この人は何がしたいんだろう。 見るだけで満足するなら、他に何もしてこないなら、彼らに迷惑をかけないなら別にいいのだが。 とりあえずネットでスタンガンを注文することにした。
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