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反射的に突き飛ばそうとしたが捕まれ離してくれない。
やっとの思いで離れたとき、彼は悲しそうに微笑んだ。
「あなた、違うの、これは…」
私は罪悪感から夫の顔を見れなかった。
「顔ちゃんと見ろよ」
彼に無理やり顔を夫の方に向けられる。
夫を見ると、笑っていた。今までで一番いい笑顔で。
「…え、なんで?」
彼は私を後ろから抱きしめた。
「お前は罪悪感でこいつを好きにならなくていい。だってこいつはお前の愛を別に必要としてない」
「どういうこと?」
「お前には俺だけでいい。お前は俺だけを見ていればいいんだよ」
彼の腕に力が入る。
「いっ…」
「約束だろ…?」
「どうして、なんで…なんで笑っているの?」
私は余裕のない彼よりも、笑顔でいる夫から目が離せなかった。
「説明するから、まず中入れよ」
私たち3人はソファに座った。彼はずっと私を後ろから抱きしめていた。夫はそれを見て微笑んでいる。
「どこから説明したらいいかな」
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