番外編:出会い

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次の日、俺は待ち合わせ場所に1人でいた。 少し、早かったか?一応10分前に来てみたが、そもそもあいつがそんなに早くくるはずはなかった。 スマホをいじって待っていると電話がかかってきた。 「もしもしー、お前今どこにいんの?」 「なんかでかい時計ついてるビルのとこ」 「あ?どこだそれ」 「ねぇ、あっちじゃない?」 あいつの電話から女の声が聞こえた。たぶん噂の従妹だろう。 「あ、みーっけた」 にやにやしたあいつと申し訳なさそうにしている女が近づいてきた。 「待ち合わせ時間変わったのかと思ったよ」 「お前がわかりずれぇところで待ってんのが悪い」 「すみません、この馬鹿が用意遅くて」 ぺこぺこと女は頭を下げる。 「ああ、いやいいよ。こいつが遅刻するのはいつもだから。むしろ10分前行動した俺が馬鹿だったよ」 「だよな」 「「お前は反省しろ」」 その後、とりあえず俺らは適当な居酒屋に入って酒を飲んでいた。 「だからよ、お前もそろそろ彼氏作れって。今日の会だってそのためなんだから」 彼女は一瞬悲しそうな顔をした。惚れた相手から違う相手を好きになれなんて結構つらいことなんだろう。 俺ならお前こそ違う相手好きになれよっていいそうだけど。 「いや…うん…」 「俺の知り合いで一番いい男紹介してんだぜ。お前もいいよな、なんたって俺の可愛い従妹様だからな」 「ああ、確かにお前の従妹にしとくのはもったいないくらい可愛いな」 あ、ちょっと照れてる可愛い。 「付き合えば?ほら、真面目なお前が大好きな、俺と正反対の糞真面目タイプだし」 「俺は君さえ良ければ大歓迎だけど」 やりすぎたか。さっきもそうだけど今日会ったばかりのやつに、好きな人の前で口説かれたところで気持ち悪さが増すだけな気がしてきた。 「俺はお前が行き遅れないか心配なんだよ。それともなんだ、俺のオススメは不満か?」 あいつの声が少し低くなった。なぜかこいつが優位に立っている。 「ううん、そんなことない。素敵な人だなって思ってるけど…」 「けど?」 ちらりと彼女は俺を見てきた。 「私でいいのかなって思っただけだよ」 彼女はまた悲しそうに笑った。 この日は結局俺と彼女が連絡先を交換して終わった。
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