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次の日彼はインターホンを連打してきた。 「なに」 「買い物!行く約束しただろ?」 彼は本気で驚いた顔をしている。 「今度とは言われたけど明日行くとは言われてない。約束もしてないし」 「ま、そういうのいいから行くぞ。はい、用意して用意」 彼に背中を押され部屋に戻された。 数分で用意を終えた。 「出来た」 「…俺、準備に時間かけない女と、デートなのに気取らない女好きだよ」 「あっそ」 ちょっとだけ普段と違うメイクを薄くしていることは黙っておいた。 彼の車に乗せられデパートへ連れて行かれた。 「まずは服だな」 「え、服も買うの?」 「全身俺好みの女にしたいじゃん。見た目も、中身も」 そこからは彼の着せ替え人形にされた。 これを着ろ、あれを着ろ、こっちがいい、あっちがいい。 「疲れた」 「じゃ、これら購入で」 「いくら?」 「あ?いいよ」 「良くない」 「俺が選んだ服で、俺が買った服で、俺の女が俺好みになるって良くない?」 「私の知らない女のお金でしょ」 彼は私の言葉を聞くと一瞬きょとんとしたが、その後機嫌を良くした。 意味がわからない。 彼は結局10着ばかりの服を買ってくれた。 その後、昼食を取り、本当に下着も買ってくれた。 女の私でさえ入るのを躊躇ってしまうような、派手な下着が所狭しと置いてあるランジェリー店へ彼は堂々と入っていった。 彼に恥ずかしいという感情はあるのだろうか。 服と下着を買って満足した彼は、私を家まで送り届けて帰っていった。 疲れた、とても。…でも、昔みたいで楽しかったな。 そういえば彼に彼女が出来たとき、女にお金は払わせないって言っててかっこいいって思ったな。 私は首を左右に振り考えるのをやめた。
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