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「え、なに」 「ちゃんとお前の仇も取ったし、お前にまた被害がいかないように幸せにもしてやった」 「え、え、え?ちょっと待って。話についていけない」 私は頭に手をあて、考える。だがまったく集中できず頭が働かない。 「俺が代わりの男を用意したの」 「どうやって?」 「あれ、お前に俺の仕事の話してなかったっけ」 聞いたことがない、普通にヒモだと思ってた。 「マッチングアプリってあんだろ。あれを俺がやってる」 「開発?」 「いんや、俺が、アプリの、代わり」 「ん?」 「知り合いの相手いない奴とか、知り合いの知り合いとかが俺に写真と自分の情報を送ってくんだよ」 「うん?」 「で、相性良いやつを俺が紹介する」 「なにそれ」 「恋人の斡旋。最初は元カノとか遊んだ女に男紹介してたんだよ。別れた後しつこいやつとかいたし。そしたらよ、俺が紹介したカップルみんな成功してんだわ」 「成功って」 「おいおい、性交じゃねぇよ。まったく、変態なんだから」 「そういうのいいから」 「まあ結婚とか、幸せ―に暮らしてるよ。本当に百発百中くらいで」 「なにその才能」 「だから俺元カノとかともちゃんと仲良いの。たまに女が昔の男うるさいって言ったらそいつの元彼氏の方にも紹介してやるし」 「だから今まで刺されなかったのか」 「感謝されこそすれ、恨まれる筋合いはねぇよ。みんな俺と遊んでよかった、幸せって言ってるし」 「…ねぇ私たち夫婦も成功してるって言えるの?」 「お前らは特殊なんだよ。それに、俺とお前が性交して成功してるからいいじゃん」 彼は私の肩を抱き寄せてきた。私は肩に回された手をはがした。 「なんで私なの。人妻がいいなら、別に他の…そう、元カノでもいいわけじゃん。なんで、私なの」 「お前とあいつらは違う」 「何が違うの?」 むしろ夫と合ってると思わせてない時点で私たち夫婦は失敗なんじゃないだろうか。 「可愛いねぇ。お前は俺の一番の理解者だろ?だったら、自分で考えろ。お前はあいつらと違って頭が良いんだから」 私の頭を撫でる。 「ただいま」 私は驚き声のする方に視線を向けた。ネクタイを外し鞄を椅子に置く姿が見えた。 「おかえりー」 「来てたのか」 「まあね」 「飯でも食べに行くか」 「マジで、太っ腹―」 「奢るとは言ってない」 「ええーケチだなぁ」 「いいよな」 「う、うん。そうだね」 私は彼よりも夫の気持ちが一番わからない。
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