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映画の台本
授業が終わり、理花と薫子が映画研究会に顔を出すと、メンバーたちが反省会をやっていた。
理花たちが部屋に入った途端のメンバーたちの動揺や、視線の動きから察した通り、理花のことで心無い噂を流したことへの反省会で、映画研究会のために時間を割いて尽くしてくれている人を貶めるようなことがないように、気を付けていこうというものだった。
部長の司がみんなの顔を見渡しながら話しをする中、他のメンバーたちはその通りだと同意を表し、理花に向けて頭を下げてくる。
ところがその中で、2人の女の子たちは俯いて目を合わせようとしないので、理花にも薫子にも、あの二人のどちらかが自分たちのクラスメートに、部活であった出来事を面白おかしく話したのだろうなという察しがついた。
現代国語の畠山先生の機転で、授業時間の10分を分けてもらい、大智が話したことに感動したC組のクラスメートたちは、自分たちの過ちを反省して、噂を訂正するために、どんどんと他のクラスメートたちに伝えていった。
小さな湧き水から流れ出て、どんどん大きくなった噂は、今度は流れた方向へと大きく逆流しながら、正しく上書きされていったようだ。
私が見ているのに気が付いたのか、バツの悪そうにこちらをちらりと見て、すぐ視線を外した彼女たちに、本当なら一言文句を言いたい気持ちをぐっと抑えた。
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