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私の様子を見ていた薫子が、横からそっと囁いてくる。
「彼女たちに何も言わなくていいの?」
「うん、あまり追いつめて、今度は彼女たちが開き直ってしまうと意味がなくなっちゃうかなって思って」
それに、自分を陥れようとしたなら別だけれど、彼女たちに悪意があったとは思えない。女の子にありがちな噂好きが起こした過ちで、彼女たちも十分白い目で見られて居心地の悪い思いをしているんじゃないかと思う。
「確かにそうね。これ以上みんなから責められて居場所を失うと、開き直るどころか、立場を逆転しようとやっきになるかも」
薫子の言う通りだ。こちらの粗探しをされて、こんな人物だから誤解されても仕方がないと余計な噂を流されたら、自分でも、人より少しだけずれているんじゃないかと薄々感じている私には防ぎようがない。
今回のことでみんなの注目の的になってしまい、しばらくは私のことでみんながすぐに反応するだろうから、これ以上嫌な思いをしたくないと、理花は薫子に小声で説明した。
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