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弟の話を聞いたせいか、理花は大智が人の面倒をみることに慣れているのではないかと思った。
そう考えると、理花に対して、保護者のようにあれこれ手を貸そうとした行動が、自然に感じられる。薫子はドジをしていないのだから、大智が同級生として接するのは当たり前で、ひがむほうがおかしいのだ。
大智は相手に合わせているだけで、二人のうちどっちが特別な存在というわけではないのかもしれない。
「あ~、なんか元気出てきた!」
「えっ? どうして? そんなに飯盒炊爨が楽しみ?」
あっ、まだそばにいたんだったっけとアワアワしながら、理花は素早く頭を回転させて、みんなが楽しめそうなイベントにこじつけた。
「えっと、ほら、キャンプファイヤーが楽しみだなって。大智君のクラスは何やるの?」
「俺らは、う~~ん。ナイショだな。それより、理花ちゃんたちは何やるの?」
「え~~~っ、ずるい!自分たちだけナイショで、こっちのこと聞きだそうとするなんて、ずる過ぎ!」
何だかとっても楽しくなって、理花は思わずポンと大智の腕をたたいた。
いつも叩きなれている薫子の柔らかい腕と違い、筋肉の硬さと体温の高さにびっくりして、さっと手を引いくと、大智が痛~っと大げさに声をあげる。
「すっげ~バカ力!骨折したかも」
大智が私が叩いた方の肩を落とし、腕をダラ~ンとさせながら、理花にどうしてくれると迫った。
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