キャンプファイヤー

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キャンプファイヤー

 洗い場の豆電球の灯りを頼りにして、班のみんなで後片付けを済ませた後、全クラスが広場に集合した。  広場の中心には、日中到着した時にはなかった木の枠が組まれ、その中に薪が山の様に積まれている。それらから一定の距離を置いて、ぐるりと囲うように、クラス単位で地面に腰を下ろしていった。  組み上げられた薪に灯油がかけられる。灯油で湿らせた布に包まれた長い棒に先生が火をつけ、薪の山にかざす姿は何かの儀式みたいだ。  瞬間ボッと音がして火が燃え上がり、女子の悲鳴が上がる。だが、それも一瞬で、煌々と燃え上がる炎の美しさに誰もが目を見張り、次第におお~っという歓声に変わった。  灯油のかかっていない部分へも、勢いを増した炎が侵略し始め、なめるように這いまわる。パチパチと爆ぜながら、オレンジ色の炎が火の粉をまき散らし、天に伸びていく様子は、息を飲むほど神秘的だった。  オレンジ色に染められたクラスメイトの顔も、炎の陰影を映して揺らめいて見えるようだ。火から離れていても、十分に熱を感じる。炎が眩しいのか、目の上に手をかざす生徒もいた。  魅せられたように炎を見つめている薫子が、すごい迫力だねと理花に語り掛けた。炎を見つめ過ぎて、熱で乾きがちな目を、瞬きで潤しながら理花が相槌を打つ。 「ほんとにすごいね。こういうの見ると、理科で習った炎の温度を思い出さない?」
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