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「ならないってば!もう、理花ったら、こんな時まで理科の実験……」
はっとした薫子が口を押えて、きょろきょろ周囲を見回した時、いつの間にやってきたのか、傍に座っている司が先を訪ねた。
「理科の実験がどうしたの?」
揺らめく炎にくぎ付けになっていた理花は、薫子が口をつぐんだ理由にまで頭が回らず、同じ疑問を口にした。
「炎の色の温度の話をしていたの。司君は覚えてる?」
「ああ、そういうのあったな。内炎と外炎だっけ。暗赤色は低温で、橙色、黄色白色、まばゆい白熱という順に高温になる」
「すごい司君!さすが男の子!っていうか、司君って本当は頭いいんだね」
「本当は、って言葉いらなくないか?ほめられた気がしないんだけど。でも、どっかでこんなやり取り聞いたような…‥」
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