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パニック!
バンガローに着いた15名は、まずは割り当てられた三棟へと別れて入り、着替えを済ませてから、ポーチを持って理花のバンガローに集合した。
理花たちが何をするのかというと、簡単に言えばサプライズ攻撃だ。
出し物をみんなで考えた時に、夜にみんなが集まれば肝試し!という発言から始まり、幽霊の恰好をした女子たちがキャンプファイヤーの会場に乱入して、同級生たちを怖がらせるということでアイディアがまとまった。
でも、きっと怖がられるどころか、冷やかされるのが関の山だろうと、みんなは予測している。だから、一通りみんなを脅した後、クラスの男の子たちがわざとらしく逃げ回るのを幽霊たちが捕まえて、仲間にしてしまい、一緒に「ゲゲゲの鬼太郎」を歌って終わることになっている。
今日の日のために、女子たちは家で白襦袢の着方を練習してきたので、着替えるのが早い早い。
理花も負けじと素早く着替え終わり、みんなに背を向けて、せっせっと化粧をし始めた。
まずは白塗りでしょ。これは絶対にゆずれない。本当は青白い方がいいのだけど、さすがに母の化粧台の引き出しの中には、青いファンデーションは見当たらず、白いおしろいしをちょっと失敬してきちゃった。
でもって、赤い口紅でこめかみから血が流れるように描くでしょ。
色違いの口紅を塗ってから、こめかみの血と同じ色の赤い口紅で、唇の端からダラリと血を溢れさせて……。
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