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四人の親友
トシカズ、イチヤ、アイ、マリア。
この順が都合がいい。なぜなら最初に僕を裏切ったのは、トシカズだから。
僕らは同じ少年サッカーチームに所属していた。二人でプロを目指そうって誓い合っていた。
なのにトシは裏切った。背が高いのを監督に見初められて、隣町のチームに移籍してしまった。
『二人で』っていう大事な約束を、ゴミ箱に捨てたんだ。
だから僕もチームごとサッカーを辞めてしまった。
次はイチヤ。
こいつは普段は喋らないが、好きな話題をふると、息が切れるまで話し続ける変なヤツ。何を考えているかなんて、きっと親でもわからない。態度は悪いし、友達なんて僕ら以外いない気がする。
けれど僕とは馬が合った。それはたまたま、スマホゲームの『インペリアル・ダークソウル』でタッグを組んだことから始まった。
無敗、無敵、連勝。
トーナメントリーグを駆け上がった闇の魔獣と聖騎士のコンビは、初回でいきなり『西ダルセパクト地方』で一番有名なチームになった。
それで気の合う友だちになったんだ。
僕はイチヤと他の三人の間に入って、意思疎通の助けになってあげた。だから喋るのが下手なイチヤも打ち解けて、やがて僕らの仲間の大事な一人になった。
それなのにイチヤは、ある時からまったく『ワールド』にログインして来なくなった。風の精霊に手紙を持たせて送っても、全然戻りが来やしない。
仕方なく僕はソロで出場したんだけれど、調子が狂ってしまって初戦から敗退。それ以来、評判もランクも地に落ちた。
まさかゲームの世界で親友に裏切られるなんて、思いもしなかった。
直接、イチヤを問い詰めても、ウーンしか言わないから、もう救いようがない。
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