20人が本棚に入れています
本棚に追加
最初のメッセージ
どれくらい時間が経ったのか。僕は目を覚ました。
暗闇からの闇。一瞬、どこにいるのかわからなくなった。
カーテンすら閉めていたので外の光は入らないし、風もない。
けれどすぐに部屋の狭さを肌で感じ、ここが自分の部屋で、寝る前と変わりない事に気づいた。
ただ時間が何時なのか良くわからない。
暗闇に腕を伸ばし、勘と手先の感触だけでスマホを探し出すことに成功した。
僕のスマホは頭がいいから、持ち主の指が触った瞬間に本人を特定し、ご主人様が持ち上げた事もよく知っていた。
自動でロックが解除されて画面が灯る。僕はそこを見た時に、時刻を知るよりも先に、映し出されている通知に気づいた。
メッセージアプリの着信だ。連絡先は個人も企業もあらかた消してしまった。非登録者はブロックしてるから、来るとしたら四人の誰かからだ。
寝ぼけていたし、考えもまとまらなかった。まあ見るだけなら良いかと通知をタップした。ローリングサークルが三周半して、ようやくメッセージが表示された。
それは一枚の画像だった。一言でいうなら、メッセージの中にあるメッセージ?
目がおかしくなったかと思った。けれど上下の目蓋を寄せて見てみると、答えが分かった。
その画像の正体は、メッセージアプリの受信画面をスクリーンショットで保存した物だった。それをさらに添付して来たものだから、アプリの中で、メッセージが合わせ鏡みたいに、重なって見えたんだ。
画像の上に吹き出しで『変なメッセージ来た』とあった。
送信者の名前を見ると、トシカズとなっていた。
それで肝心の画像の中のメッセージはというと……僕はそれを見て、頭を捻った。
――――――
(画像の中のメッセージ)『ワレタ……』
――――――
最初のコメントを投稿しよう!