扉を閉じた理由

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扉を閉じた理由

 僕がその扉を閉じたのには、理由がある。  ひとつは裏切り、それも大事な仲間からの。仲間だと思ってた友人からの。さらに暴力もある。  その行為は、どれも卑怯きわまりないやり方だった。  学校に通う僕には、とても仲の良い友人がいた。  全部で四人。全員が小学校からの幼馴染だ。  トシカズ、イチヤ、アイ、マリア。  簡単に「元」友人たちを、説明しようか?  のっぽ、ぶっきらぼう、お(しゃべ)り、おせっかいの順。  男、男、女、女。  並び替えても噛まずに説明できるぐらい、僕らはお互いをよく知っている。  お前はどうなんだって? 自分のことは、キレイ好きな中学生だとだけ言っておこう(神経質なんて悪口は知らない)。  小学校は一年の頃から全員友達になって、男も女も関係なく、六年間いつも一緒にいた。  卒業して同じ学校(ガッコ)に進んで、一年間は何も変わらなかった。  もちろん、体は大きくなったよ? チビのアイは別にして。  でもお互いの事を思う気持ち――臭いけど友情的なやつは、変わらないと思ってた。  そう信じてた。この扉を硬く閉ざすまでは。
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