●恋心

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「いや、俺も生で米倉翔吾を見たのは今年に入ってからだからなぁ。 上手く、説明出来ない」 三浦キヨミの問い掛けに、僕は首をひねった。 「しかも、その内の一回は夏フェスで菅賢一とコラボしたステージだったしよ。 まだ説明出来る程、生で米倉翔吾を見てないんだよ。 しいて言うなら、ステージでの米倉翔吾はCDのイメージと違って凄く熱いってトコロかな? 米倉翔吾、CDだと何か文科系ってイメージじゃん」 「あっ、分かります。 CDの米倉翔吾って、語る感じで歌っていきますもんね。 ってか、有岡さん。 静岡の夏フェスで米倉翔吾を見に行った、って根本さんの飲み会で言ってましたね。 思い出しました」 「よく、覚えてんな。 三浦さんが来ていた根本の飲み会って、確か夏だろ。 そこで俺らと初めて会ったのに、なんでそんな会話の内容とか覚えてんの」 「初めての参加だったから、印象に残ってるだけですよ。 それにあの飲み会って、森さんの『ダイキチー!』とか、広田さんとか結構個性的な人が多かったじゃないですか」 三浦キヨミはクスクスと笑うと、僕と共にホームのベンチに座り、電車の到着を待った。 「そういえば、有岡さん。 マコトさんとは、まだ『友達』って関係を続けてるんですか?」 そして、ベンチに座って一分程が経ったであろうか。 お互い、まだ人となりがよく分かっていないが故、やむ無く訪れた沈黙を回避したいのか、三浦キヨミは「根本会」で僕が口にしていたマコトの名前を話題に話し掛けてきた。 「マコトかぁ……」 僕は腕組みをすると、再び首をひねった。 「実はさ、マコトとは今、その友達って関係が微妙なんだよね」 そして、僕は苦笑いを浮かばせると、今現在のマコトとの関係を三浦キヨミに対して語っていった。
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