616人が本棚に入れています
本棚に追加
/416ページ
「いや、俺も生で米倉翔吾を見たのは今年に入ってからだからなぁ。
上手く、説明出来ない」
三浦キヨミの問い掛けに、僕は首をひねった。
「しかも、その内の一回は夏フェスで菅賢一とコラボしたステージだったしよ。
まだ説明出来る程、生で米倉翔吾を見てないんだよ。
しいて言うなら、ステージでの米倉翔吾はCDのイメージと違って凄く熱いってトコロかな?
米倉翔吾、CDだと何か文科系ってイメージじゃん」
「あっ、分かります。
CDの米倉翔吾って、語る感じで歌っていきますもんね。
ってか、有岡さん。
静岡の夏フェスで米倉翔吾を見に行った、って根本さんの飲み会で言ってましたね。
思い出しました」
「よく、覚えてんな。
三浦さんが来ていた根本の飲み会って、確か夏だろ。
そこで俺らと初めて会ったのに、なんでそんな会話の内容とか覚えてんの」
「初めての参加だったから、印象に残ってるだけですよ。
それにあの飲み会って、森さんの『ダイキチー!』とか、広田さんとか結構個性的な人が多かったじゃないですか」
三浦キヨミはクスクスと笑うと、僕と共にホームのベンチに座り、電車の到着を待った。
「そういえば、有岡さん。
マコトさんとは、まだ『友達』って関係を続けてるんですか?」
そして、ベンチに座って一分程が経ったであろうか。
お互い、まだ人となりがよく分かっていないが故、やむ無く訪れた沈黙を回避したいのか、三浦キヨミは「根本会」で僕が口にしていたマコトの名前を話題に話し掛けてきた。
「マコトかぁ……」
僕は腕組みをすると、再び首をひねった。
「実はさ、マコトとは今、その友達って関係が微妙なんだよね」
そして、僕は苦笑いを浮かばせると、今現在のマコトとの関係を三浦キヨミに対して語っていった。
最初のコメントを投稿しよう!