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「もしかしたら、白石から聞いて知ってるかもだけど、マコト。
彼氏が出来たんだ。
しかも、その彼氏が広田でさ。
あの……、三浦さんは広田の事をよく知らないかもだけど、アイツは女関係にはちょっといい加減なトコロがあるんだ。
で、マコトとその広田が付き合う、ってなってマコト大丈夫かな、ってちょっと『友達』として心配というか……。
けど、マコトの方は広田の事を彼氏として好きになっていく、って決めたみたいで、男友達の俺と殆ど連絡を取ってくれなくなってよ。
もし、だけど、このままマコトと広田の関係が深まっていったら、俺とマコトとの関係は徐々に消えていってしまうかもしれない。
まぁ、分かんないけどね」
「それ、何か悲しいですね。
有岡さん、せっかく今まで友達としてマコトさんと接してきた、っていうのに……」
僕の言葉に、三浦キヨミはどこか僕を慮るような口調で言った。
「でも、まぁ仕方ないよ。こればっかしはさ」
左手につけたG-SHOCKで僕は時刻を確認すると、三浦キヨミに対して続けて言葉を述べていく。
「広田とマコトを合コンって形で引き合わせたのは、俺だからね。
こればっかしは、自分を恨むしかないよ。
取り敢えず、友達として今願っている事は、マコトには幸せになって欲しいって事だな。
結局、『友達』って関係以上になれない俺じゃ、マコトをそういう面で幸せにする事は出来ないしよ」
「もし、有岡さんが誰かと結婚したら、マコトさんと『友達』って関係を続けるのが難しくなりますもんね。
アタシ、これもしかしたら前にも言ったかもですけど」
「言ってたね」
僕は苦笑する。
「思い出したよ。
確か三浦さん、その話題で軽く広田とバトってたよね。
結婚しても女友達と遊びに行けるかどうか、って。
で、広田が『俺は行ける!』って頑なに言うもんだから、三浦さんがどんどん怒ってきたのを俺、覚えてる」
「えっ、待ってください。
あの時のアタシ、そんな怒ってました?」
三浦キヨミは、心外といった様子で僕に身体を向け、言った。
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