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「結構、ムキになってたよ、あの時の三浦さん」
何事に対しても真っ直ぐな三浦キヨミの性格に、僕の苦笑は微笑へと変化する。
「俺とマコトとの友人関係についても三浦さん、結構強い口調で自分の意見を言ってたしよ。
でも、あくまで俺とかマコトの事を思って言ってる意見だから、何か怒る前にちゃんと自分の考えを持ってる子なんだな、って感心しちゃったよ。
俺はね」
「えー、あの時のアタシ。そんな面倒くさい感じだったかな……」
僕の言葉を聞き終えた三浦キヨミは、後悔するようにかぶりを振った。
ホームに、電車が滑り込んできた。
僕と三浦キヨミは立ち上がると、それなりに混雑している電車へと乗り込む。
「でも、まぁいいんじゃないかな?」
僕は吊革を持つと、気落ちしている三浦キヨミの横顔を見ながら言った。
「変に自分をごまかして窮屈に生きるより、そっちの方が生きやすいだろうし、関わる人間からしても分かりやすい。
あっ、三浦さん。こういう人なんだって。
で、その結果。
三浦さんの性格が駄目な人は自然と離れていくだろうし、受け入れる事が出来る人は白石みたいに自分の周りに残っていくよ。
別に、悪気があっての行動じゃないんだ。
ただ、自分に正直なだけなんだから、三浦さんはそんな気にしなくていいよ」
「えっ、でもこの性格のせいで結構損してるんですよね……。
キヨミは絶対折れない、とかよく言われるし。
でも、アタシも悪い事別にしてないのに簡単に謝るのはどうかな、って思ったりしてるから、どんどん泥沼な方向に進んで、後で陰でコソコソ言われたりとか……」
「悪気は無いんだろ、別に」
過去も振り返る事でやや消沈してきている三浦キヨミを鼓舞するように、僕は言葉を掛けていく。
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