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「ならさ、そのままの自分で突き進んで行けばいいじゃん。
もっとも、悪意があったりとか、誰かを騙そうとした、っていうのは論外だけど。
けど、悪気が無いんだったら三浦さんが折れる必要は無いし、謝る必要も無いよ。
陰でコソコソ言う奴は、言わせておけばいい。
そういう、面と向かって指摘するんじゃなく、陰口を言う事で自分を慰めてる奴は、ただ誰かを悪く言うだけで自分では何一つ出来やしない奴なんだからよ」
三浦キヨミから、返答は無かった。
ただ、両目を見開いたまま、三浦キヨミはおし黙った状態で僕の顔を見ていた。
「どうしたの?」
一見すると、呆けているようにも見える三浦キヨミが心配になった僕は尋ねる。
「あっ、いえ……!」
三浦キヨミは取り繕うようにこう述べると、話す体勢を整えているのか、二回程深呼吸をした。
「いえ、あの……。
ちょっと、ビックリしちゃったんです。
そんな風に言われたの、初めてだったから
今までは、
『キヨミは、もうちょっと協調性を持った方がいい』
とか、
『全部自分が正しいとかあり得ないんだから、ちょっとは折れたら』
って怒られてばっかりだったから、有岡さんの言葉って何か新鮮だな、って思ったっていうか」
「しょうがないじゃん。
性格なんてのは、簡単には変えられないモンなんだしさ」
三浦キヨミの言葉に、僕は笑う。
「つーか、俺がそういう風に生きてる、っていうのもあるのかな?
何か、似たような生き方をしてる三浦さんを、ちょっと応援したくなっちゃったのかもね。
さっき俺が言った生き方って正直、人から誤解される生き方かもしれない。
けど、こういう生き方も悪くないよ。
だって、自分に正直な生き方をしていて残った友達って、俺の事をよく分かって付き合ってくれてる友達だもん。
信也とか、まさにそうだし」
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