●恋心

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「後で、インスタにupしようっと」 画像を確認した三浦キヨミは満足げに言うと、スマートフォンを右手に持っていたトートバッグへと入れる。 「じゃ、コンビニで飲み物買いますか」 僕もスマートフォンをカーゴパンツのポケットに入れると、ドーム周辺を二人で歩きながらコンビニが無いかどうか探した。 2分程歩いたトコロで、コンビニが見えてきた。 僕と三浦キヨミはコンビニへと入ると、ペットボトルの緑茶とスポーツドリンクを一本ずつ買う。 「席って、どの辺でしたっけ?」 コンビニを後にし、再びドーム周辺を歩いている最中、三浦キヨミが訊いてくる。 「あっ、二階のスタンド席。 ゴメンね、そこまでいい席って訳じゃないんだ」 「いいですよ、別に。 ライブに行ける、ってだけでアタシ的にはありがたい話なんですから」 「チケット代、7500円だけど端数の500円はもういいよ。急な話だったしね」 「いいです、払いますよ。 アタシ、さっきも言ったじゃないですか。 ライブに行けるってだけでも、ありがたい話だって」 三浦キヨミは例の折れない性格を発揮すると、トートバッグから財布を取り出し、千円札8枚を僕に手渡した。 「お釣り、無かったら後でいいですから」 三浦キヨミはそそくさと財布をトートバッグに入れると、再びドーム周辺を歩き始めた。 階段をのぼり、入口手前でチケットを僕は三浦キヨミに手渡すと、僕ら二人はドームへと入った。 「本当にあるんですね、ああいう手荷物チェック。 『カメラとか、録音撮影機器はありませんか?』って言われてトートバッグの中を係りの人に見せた時、アタシちょっと緊張しちゃいましたよ」 「俺もドームでのライブは初めてだから、ちょっと緊張した。 ライブハウスではあんな事、してなかったしよ」 「ライブハウスの方が、逆にレア感があって写真とか撮られたりしたらマズイと思うんですけどね。 なんで、ドームの方が徹底してるんだろ」 三浦キヨミは首をかしげながら言うと、チケットに記載されている座席に従い、僕と共にドーム内の通路を歩いていった。
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