●恋心

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「有岡さんが言った通り、ホントに熱かったですね。 ステージでの、米倉翔吾……」 ライブが終わると、三浦キヨミはしみじみといった口調で感想を述べていった。 この辺りも、感動を共有したい、とばかりに速射砲のように感想を述べるマコトとは対照的であった。 「サッカーでもやってんのか、って思えるくらいにステージ上を右へ左へ走り回っていたからね。 もしかしたら米倉翔吾って、ライブハウスよりドームとか大きいステージの方が向いているのかもしれない」 笑いながら答えた僕は、それとなくグッズ売場に目を向ける。 「どうする? やっぱりグッズ買って帰る? まだ、何かしら売ってるみたいだし、小物だったらちょっと俺も買いたくなってきた」 「買います」 鼻息を荒くさせながら三浦キヨミは言うと、僕を引き連れる形でグッズ売場に入った。 その結果、僕は小銭入れを。 そして、三浦キヨミは運良く売り切れずに残っていたマフラータオルとメモ帳を買うと、僕ら二人はグッズ売場を後にし、地下鉄の駅へと歩を進めていった。 「ご飯とかどうします、有岡さん?」 地下鉄のホームで電車を待っている時、三浦キヨミが僕に目を向け、訊いてくる。 「うーん、帰ってから家でまとめ買いしているチキンラーメン食うつもりだったけど……」 「よかったら、晩ごはん一緒に食べて帰りません? ラーメンならアタシ、美味しい店知ってるんですよ」 「それはいいけど、三浦さん門限大丈夫? 白石が言ってたけど確か三浦さん、実家暮らしなんでしょ」 「あっ、門限は10時なんですけど、前もって言っておけば多少は許してくれるんです。 さすがに、オールとかしたら後でメチャクチャ怒られますけど、ラーメン食べて帰るくらいなら全然余裕です」 「それなら俺はいいけど、ドコにあんの? そのラーメン屋」 「待ち合わせした駅の近くです。 一回、友達と一緒に食べに行ったんですけど、ラーメンって思えないくらい美味しくて……」 言い終えた三浦キヨミはトートバッグからスマートフォンを取り出すと、営業時間や店までの経路などを調べるつもりなのか、人差し指を素早く動かし店の名前を検索サイトに打ち込んでいった。
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