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その時、ラーメンが僕ら二人の元に届けられた。
スープは塩、細麺。
鶏肉から作られたチャーシューは、淡白ではあるが塩ラーメンとの相性が絶妙であり、麺をすすったりんは「ヤバっ!」と舌鼓を打った。
「ラーメン食いながらでいいから、マコトの事を教えてくれよ」
僕もラーメンを一口すすると、黙々と食べ進めているりんに向かって言う。
「単純にラーメン食いに来た訳じゃないんだからよ。
広田の話でちょっと脇道に逸れたけど、肝心のマコトの話を聞かせてくれよ」
「りょーかい」
りんは箸を置くと、真摯な視線を僕に向けた。
「ところで、タクヤくんさぁ」
りんは、テーブルの上で両腕を組むと、心持ち身を乗り出す。
「マコっちゃんが何をしてたかっての、タクヤくんは知ってた訳?」
「いや、知らない」
僕は首を振った。
「それについては、マコトは一切話してくれなかったんだ。
『私が何をしているかは言えない』、の一点張りでよ」
「じゃあ、タクヤくんはマコっちゃんと『お客さん』として遊んで知り合った、って訳じゃないんだね」
「お客さん……?」
僕は再び、首をかしげた。
「あっ、その様子じゃホントに知らないっぽいね」
りんは肩をすくめると、スープを二口程飲み、喉をしめらせた。
「ちょっと待って、お客さんってどういう意味だよ」
りんの口から出てきた突拍子の無い言葉を訝しげに思った僕は、すぐさま続きを述べるよう促す。
「うーん、言ってもいいんだけど、これ言ってタクヤくん引かないかな……」
もったいぶった口調でりんは言うと、僕から視線を外す。
「でも、まぁいいか。
マコっちゃんに全部話してくれってアタシ、言われてるし」
しかし、話す決意を固めたらしく、りんは再び僕に視線を向けた。
「マコっちゃんね、実はタクヤくんが想像もつかない事やってたの」
「どんな?」
「援デリ」
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