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「相変わらず、おキレイで」
僕は軽いジョークをキヨミに対して述べると、グラスに入っているビールを一息に飲み干す。
「思ってもないクセに」
そのジョークにキヨミは笑うと、空いた僕のグラスにビールを注いでくれた。
「白石の結婚式から2ヶ月が経つけど、アレからキヨミ。
まだ、彼氏出来ないの?」
僕は礼を述べた後、キヨミに目を向け、訊く。
「いや、それ。
ある意味セクハラだよ、タクヤくん」
鯛の切り身を食べていたキヨミは箸を置くと、肩をすくめた。
「元々、会社でもアタシ。
気難しい人で通ってるしね。
で、何回かケンカしながらも付き合ってきた彼氏から、この年でいきなり放り出されたら、もうどうしようもないよ。
お見合いパーティーにでも行こうかなってアタシ、今、真剣に悩んでるのに」
キヨミはため息をつくと、
「そういう、タクヤくんは?」
と、僕に訊いてきた。
「俺の方も似たようなモンだよ。
昔、白石に言われた事があるけど、元々俺ってそんな社交的な性格じゃないからね。
前の彼女が、今の会社の女の子ってのもあるのか、会社の女の子は仕事中以外はあまり俺に話し掛けてこない」
「お互い、似たような状況って訳か」
キヨミは、ふふ、と笑うと、僕の小鉢を手に取り、そこに鍋を取り分けてくれた。
「あっ、いいよ。自分で入れるのに」
「入れさせてくださいよ、元カノとして」
笑いながらキヨミは言うと、鍋の具材が入った小鉢を僕の前に戻した。
「そういえば、キヨミ。
前に白石から、鍋を取り分けるのにセンスがある、とか言われてたよな。
今日、久しぶりにそれ見たけど、やっぱ食欲そそるような入れ方するな」
「いや、アタシ。
そんな計算せずに、ざっくりと入れてるだけなんだけどな。
白石さんにしてもタクヤくんにしても、誉めすぎだよ」
キヨミは笑うと、手慣れた様子で自分の小鉢にも鍋を取り分けていった。
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