●愛がもう少し欲しいよ

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久しぶりに行われた「根本会」は、大きな盛り上がりを見せた。 が、現在進行形で関係性を築いていく飲み会とは違い、過去の出来事を振り返る事で盛り上がる「根本会」は、その宴が終わると 「次の日には現実に帰らなくてはならない」 という事実を、嫌でも実感させられた。 「まぁ、新メンバーも加わった事だし、このまま第二回第三回と継続して飲み会やっていこうぜ! もし、当時俺の飲み会に来ていた人間で、今でも連絡がつくって人間がいたら、どんどん参加させていって大規模な会にしていってさ!」 飲み会の終わり間際、信也がこう言い、皆も「そうだな!」と共感するものの、結果から先に述べるとそれは構想のみで終わり、この飲み会が継続的に続く事は無かった。 「タクヤくん、もう帰るの?」 全員でターミナル駅に向かい、そこで各自が自宅の最寄りの駅に繋がる路線に向かっている最中、キヨミがそれとなく僕に訊いてきた。 時刻は、10時を少し過ぎた辺りであった。 2軒目に行こうと思えば、まだ行ける時間である。 「まぁ、何も無ければそのまま帰る感じだけど……」 「じゃあさ、飲み直さない? アタシ、まだ飲み足りない気分なの。 色々と溜まってるモノも全部吐き出せてないし、ちょっと付き合ってよ」 「俺はいいけど、そっちは大丈夫なのかよ。 確か、門限結構厳しかったハズだろ」 「門限とか、いつの話……」 キヨミは微酔で顔を赤く染めたまま、クスクスと笑った。 「もう実家出て、今は独り暮らししてるよ。 アタシ、家もココからならタクシーで帰れる距離だし、ちょっとだけ飲もうよ。 色々、訊いて欲しい愚痴もたくさんあるんだからさぁ」 「おい、お前ら。帰らねえのか?」 ここで、僕と同じ路線の田渕が振り返り、訊いてくる。 「田渕、悪い。 ちょっと、2軒目行ってくるわ。 キヨミが別れた彼氏の事で、相当愚痴が溜まってんだと」 「そうか。 じゃあ俺は先に帰るわ、早く帰らねえと嫁さんがうるさいからよ。 また飲もうな!」 田渕は大きな身体をくるりと反転させると、改札をくぐり、そのままホームへと消えていった。
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