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「……信じてみる」
僕の耳元で、マコトは声を震わせながら言った。
「っていうか、信じたい……。
信じて、普通の生活を送りたい。
今まで私、お金だけしか信じられなくて、散々自分を傷つけてきたからさ……。
もう、そんな生活したくないの。
別に被害者ヅラとかしたくないけど、私みたいに家族とか学校とかで居場所を無くした子を食い物にするクズって、確実に世の中にいるの。
携帯も貸してやる、住むトコロも用意してやる。
こんな、甘い言葉をかけてきて私達を守ってるように見せかけて、実は自分のお金の事しか考えて無かったりとかさ……。
だから、山中さんから女の子を管理してみろって言われた時、私。
極力、りんちゃんとかカナとか女の子達を守るようにしたの……。
私もそうだったけど、誰だって変態みたいなオッサン相手とするのとか、どっかで狂ってないと無理だしさ。
でも、結局それで国やんと揉めて、みんなバラバラになって、守るどころかもっとひどい事になった子もいたし……」
「無理してたんだな、今まで」
僕の肩口で涙を流しているマコトに対して、僕はねぎらうように言った。
「でも、もうそんな無理して頑張らなくていいよ。
俺がマコトを守っていくからさ……。
マコトはもう、一人ぼっちで頑張らなくていいんだよ」
僕の言葉に、マコトはむせび泣きながらコクリと頷いた。
「タクヤなら出来るって信じてる……。
私を、暗闇の底から引き上げてくれるの」
言い終えたマコトは、僕の肩口でただただ涙を流し続けた。
「頑張って暗闇から出ようぜ、二人で」
僕はマコトの頭を撫でながら、言った。
「……うん」
マコトは頷くと、僕の左頬にキスをした。
が、結論から言うと、僕はマコトを幸せにする事は出来なかった。
マコトは、僕を含む他人から愛される事に慣れていなかった。
そして、愛され慣れていないが故に、マコトはどんどんと一人で物事を解決しようと動いていき、結果その身を破滅へと導いていくのである。
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