【第一部】 ──青年──

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さっきも説明したように、実は男ではなく「女の子」であったマコト。 そのマコトと僕が知り合ったのは、去年。 場所はいかにも現代というべきか、バイト先や大学という訳ではなく、Twitterであった。 #拡散希望 #邦ロック垢と繋がりたい #米倉翔吾好き集まれ #米倉翔吾生誕祭 メジャーデビューをした事で、ボカロPから有名アーティストへと一気に成長した、米倉翔吾。 その、米倉翔吾の誕生日に僕こと「タクヤ」は、ハッシュタグを通じて同じく米倉翔吾のファンである「マコト」とTwitterで繋がった。 Twitterでの「マコト」の印象は、ただただ「面白い奴」の一言であった。 自分で言うのもなんだが、やはり僕は思春期の男の子だからか。 稀にだが僕は、深夜など特殊な状況において幼稚としか言えない下ネタを、ポロポロとTwitter上において呟く。 そんな僕のツイートに、マコトはすぐさま「やめろやw」と、愛嬌溢れる突っ込みを入れてきたりとか……。 かと思えば、僕に便乗する形で同じく下ネタを言ったりとか、その清濁併せ持ったマコトの存在はいつしか僕のSNSライフにおいて欠かせない存在となっていた。 そして、マコトとTwitterで繋がってちょうど1年が過ぎた辺りだろうか。 前述のボカロP出身アーティスト、米倉翔吾。 その、米倉翔吾がライブツアーを行うと自身のホームページで発表したのだ。 この発表に、僕やマコトを含む「米倉翔吾ファン」が歓喜したのは言うまでもない。 しかし、米倉翔吾がライブツアーの舞台として選んだのは、大人数を収容出来るスタジアムやホールではなく、ライブハウス。 今や有名アーティストとなってしまっている米倉翔吾にとって、ライブハウスというその「ハコ」はやや小さいモノであり、それ故ライブのチケットは文字通り「プラチナチケット」であった。
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