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「うーん、上手く説明は出来ないんだけど……」
マコトが言ったその時、ベンチに座っていたカップルが店員に呼ばれ入店していった。
同時に行列も二人分進んだ為、僕らも歩を進めると、マコトは先程途切れた会話を再開させる。
「何かね、『アリオカタクヤ』って言葉がそのまま服を着ている、って感じなのね。
タクヤの雰囲気、って。
何て、説明したらいいのかな……。
あの、たとえばさ、タクヤが飛行機事故とかに巻き込まれて死んじゃうとするじゃん。
で、自衛隊か何か知らないけど、レスキューの人に捜索されて、大量の遺体の中からタクヤの遺体が出てきたら、身元を確認する前にレスキューの人が分かっちゃうの。
『んっ、この人はもしかして、アリオカタクヤ君じゃないのか?』って」
「おかしい、それ何かおかしい」
マコトの独特なたとえ話に、僕は不覚にも笑ってしまった。
「いや、だから言ったじゃん。
上手く説明するのが難しい、って」
僕の失笑に気を悪くしたのか、マコトは露骨にすねた素振りを見せる。
「でも、マコトのたとえ話はともかくさ……」
マコトをなだめるように僕は言うと、続けて言葉を述べていく。
「俺は、名前そのものの風貌、って事なんだよね。
自分ではその辺の事は、よく分からないけど」
「うん、そういう事」
まだ、苛立ちがおさまらないのか、マコトのその口調は素っ気ない。
雨が止んだ。
降ったかと思えばやんだり、どうにもスッキリとしない天気だ。
「どうせ雨が降るなら、パンケーキ食ってる間に降って欲しいよな」
再び行列が動いたので、僕はマコトと共に歩を進める。
「ホントそれ」
手短な単語をマコトは早口で返すと、それ以降僕達二人の会話は滞った。
Twitterでやり取りしている時から、会話の主導権を常にマコトが握っていたからか。
そのマコトが黙り込んだ結果、僕達二人は沈黙を余儀なくされ、結局僕とマコトの二人は入店するまでの間、黙々とスマートフォンをいじる事で余暇を潰す、という有り様であった。
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