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そして、お互いのパンケーキが、残り1/3程度になった頃。
僕は、ふぅ、と一息つく事で気持ちを整えると、意を決して真向かいのマコトに対して視線を向けた。
「えっ、どうしたの? 急に真剣な顔になっちゃって」
僕の様子に気付いたのか、マコトはやや臆した様子で問い掛ける。
──言わなければならない。
思った僕は、ゴクリと固唾を飲み込み、マコトに深い眼差しを注ぎ続ける。
マコトとはこの先、「友達」として付き合っていく。
これは先日、僕の中で決めたマコトへの対応であった。
しかし、それを切り出してしまえば、マコトからの「愛情」を断ち切るのみではなく、「友達」としての関係も崩壊してしまうのでは、と僕は危惧していた。
もちろん、そうなれば白石にも言ったように、マコトとは関わらないようにすればいい話だ。
が、何故だかそれを望んでいない「もう一人の自分」が、僕の心の真ん中で必死に叫び声を発しつづけていた。
「……あのさ」
覚悟を決めた僕は、マコトに対して切り出す。
「はい」
僕の様子に臆したままなのか、マコトはかしこまった口調で返答する。
「話があるんだ……」
僕は再び固唾を飲み込むと、先日決めたマコトへの対応をゆっくりとマコト本人に対して述べていく。
「この間のライブの時、俺。
マコトの事は『男』と思って接していく、って言ったよね?」
「うん、言ってた……」
マコトは訳が分からない、といった様子で曖昧に頷く。
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