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『でも、私も一瞬そう思ったけどね』
しかし、マコトはすぐさま僕をフォローするメッセージを送信し、その理由を説明していった。
『っていうか、スクショした画像を見てもらえば分かると思うけど、二人で一泊すると、宿泊代が10万超えるから。
だから、私もスイートルームって思ったっていうか。。。』
「10万っ……!」
皆がリビングで雑魚寝しているというのに、マコトのLINEを見た僕は思わず叫んでしまった。
『そんで、ベッドもせめてツインなら救いがあったんだけど、ダブルだしさ。
っていうか、どれだけ検索してもこの部屋しか無かったんだ。
取り敢えず、迷ってたら他の人に取られると思って急いで予約したんだけど、タクヤ的にはどう思う?
宿泊代も二人で割っても5万超えるし、ベッドもダブルだし、無理ならこの部屋キャンセルして、もう少し探してみるけど』
「いや、無理だろ。さすがに10万は……」
スマートフォンの液晶画面を見ながら、僕はさすがに難色をしめした。
おそらく、この部屋を見逃せば夏フェスが行われる残りの日数から考えて、ホテルの空きを見つける事は絶望的になるだろうが、さすがに二人で10万は高すぎる。
何より、僕と同じベッドで寝る、という事に、マコトは耐えられるのだろうか。
『もし、私の事を心配してるのなら、私なら大丈夫だから!』
返信が滞っている為か、マコトは僕の胸中を察したようなLINEを送ってきた。
『ダブルベッド、っていっても別にお互いが離れて寝ればいいだけの話だし!
部屋代も、さすがに貯金を崩しても厳しい、っていうのなら貸してあげるからさ。
どうする?』
「どうする、って言っても、半分でも5万だぜ……。
それを、簡単に貸すっていうのかよ」
僕は『ちょっとだけ考えさせて』というメッセージをマコトに送信すると、衣装ケースからシャツとタンクトップを取り出し、それを着ていきながら考えを巡らせていった。
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