●罪とビーナス

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『でも、私も一瞬そう思ったけどね』 しかし、マコトはすぐさま僕をフォローするメッセージを送信し、その理由を説明していった。 『っていうか、スクショした画像を見てもらえば分かると思うけど、二人で一泊すると、宿泊代が10万超えるから。 だから、私もスイートルームって思ったっていうか。。。』 「10万っ……!」 皆がリビングで雑魚寝しているというのに、マコトのLINEを見た僕は思わず叫んでしまった。 『そんで、ベッドもせめてツインなら救いがあったんだけど、ダブルだしさ。 っていうか、どれだけ検索してもこの部屋しか無かったんだ。 取り敢えず、迷ってたら他の人に取られると思って急いで予約したんだけど、タクヤ的にはどう思う? 宿泊代も二人で割っても5万超えるし、ベッドもダブルだし、無理ならこの部屋キャンセルして、もう少し探してみるけど』 「いや、無理だろ。さすがに10万は……」 スマートフォンの液晶画面を見ながら、僕はさすがに難色をしめした。 おそらく、この部屋を見逃せば夏フェスが行われる残りの日数から考えて、ホテルの空きを見つける事は絶望的になるだろうが、さすがに二人で10万は高すぎる。 何より、僕と同じベッドで寝る、という事に、マコトは耐えられるのだろうか。 『もし、私の事を心配してるのなら、私なら大丈夫だから!』 返信が滞っている為か、マコトは僕の胸中を察したようなLINEを送ってきた。 『ダブルベッド、っていっても別にお互いが離れて寝ればいいだけの話だし! 部屋代も、さすがに貯金を崩しても厳しい、っていうのなら貸してあげるからさ。 どうする?』 「どうする、って言っても、半分でも5万だぜ……。 それを、簡単に貸すっていうのかよ」 僕は『ちょっとだけ考えさせて』というメッセージをマコトに送信すると、衣装ケースからシャツとタンクトップを取り出し、それを着ていきながら考えを巡らせていった。
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