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「どんだけ、食べるんだよ」
無尽蔵とも言えるマコトの食欲に、僕はただただ呆れてしまった。
「えー、だってこれ、ネットで美味しいって評判だったんだもん。
『新幹線の駅の中でしか買えないから、今度の夏フェスに新幹線で行く人は絶対買って下さい』
って、ツイートしてる人もいたし。
タクヤ、幾つかいる?
さすがに、8個全部食べるのは朝ごはん抜きの私でもちょっとしんどいしさ」
「じゃ、ちょっともらうよ」
僕は、今度はマコトの好意に甘え「たまらんチーズ」と描かれたパッケージから、一口サイズのチーズケーキを取り出し、それを口の中に入れた。
「あっ、美味しい」
ミルクのコクと、チーズの酸味が混じりあった一口サイズのチーズケーキは、絶妙とも言える味であった。
「ほらー、だから美味しいって言ったじゃん」
僕の感想にマコトは笑うと、ペットボトルの緑茶を飲み、チーズケーキを次々と口の中に放り込む。
「もう一ついい?」
「どうぞ、どうぞ」
あまりに絶妙な味であったからか、マコトの好意に甘えた僕は結局3つもチーズケーキを食べてしまった。
「あー、米倉さん。
菅さんとのユニットで何を歌うんだろね」
そして、お互いの食事が終わった後。
マコトは肩にかけていたPORTERのバッグからスマートフォンを取り出すと、それを触りながら言った。
「えっ、『原色の空』でしょ。
それ以外に何があんの?
米倉さん、菅さんとのユニットではその曲しかシングル出してないし」
「いやいや、それは歌うの確実じゃん。
何、言っちゃってんの、タクヤくん」
マコトはスマートフォンから僕に視線を移すと、肩をすくめながら述べ、言葉を続ける。
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